第二回 20年投資家編【後編】

仕事や性別、投資スタイルはバラバラの5人の先輩投資家たち。その座談会からは銘柄の探し方や投資の始め方、日々の生活と株式投資のバランスなど、さまざまなヒントが得られそう。ひと足先に成功への道を歩み始めている先輩たちのリアルな声、ぜひ投資の参考に!
第二回 20年投資家編【前編】を読む

長期投資派は投資にかける時間が短い

――皆さんは働きながら、あるいは子育てしながら投資をなさっています。普段、株とどんな付き合い方をしているんですか?

棋士さん:
私は短期の利益は狙わず、長期投資のスタンスなので週に1〜2回、気になったニュースがあればチェックするくらいですね。仕事中にスマホで株価をチェックするようなことはありません。それをすると仕事と投資、どっちもダメになると思うので……。

棋士さんーー45歳男性。投資歴は約20年。長期的な視野での投資が得意。アマチュア将棋では全国ベスト8入りの腕前の持ち主でもある。累計利益は500万円ほど。

インストラクターさん:
私は証券会社のアラート機能を使っています。指定した株価に達すると教えてくれるので、アラートが鳴ったら株価をチェックしますが、でも、だからといって取引することはほとんどありません。週末に注文を入れておくことが多いですね。

インストラクターさんーー49歳男性。投資歴は約20年。職業はパラグライダーのインストラクター。累計利益は約1000万円。銘柄選定では妻の意見を反映することも。

早期退職さん:
私は短期で取引することもあるのですが、相場が動く時間はだいたい決まっていて、株式市場が開いた直後と閉まる間際に動くことが多いので朝の1時間が基本。8時から9時がメインです。早朝に「モーサテ」(『Newsモーニングサテライト』、経済情報番組)を見て、専門家の意見を聞きながら1日の値動きをイメージして、8時すぎから注文を入れていきます。

早期退職さんーー46歳女性。投資歴は20年弱。給与所得より投資で稼ぐ方が手っ取り早いと早期退職。短期売買も得意とし累計利益は1500万円ほど。

短時間でできる銘柄探しの方法は?

――有望な銘柄はどうやって探すんですか?

競艇さん:
私はIPOがメインなので、IPOの情報は手帳に細かくメモしています。

競艇さんーー55歳男性。投資歴は20年ほど。競艇場に勤務する。投資はもっぱらIPOが中心。IPO情報を細かく手帳に記録する。累計利益は約1000万円。

配当ママさん:
身近な銘柄やCMを見て気になった会社から、だんだんと周辺に広げていきました。「いい会社だな」と思ったら、ウォッチリストに入れて、しばらく様子を見て、落ちたところで拾っていったりします。

配当ママさんーー51歳女性。投資歴は20年以上。業績が安定している企業を中心に好配当銘柄へ手広く投資する。年間の受取額は年100万円ほど。累計利益は約1000万円。

早期退職さん:
これから伸びそうな産業、技術をまず考えます。オリンピック関連なら「直接は関係がないけど上がりそうなところはどこだろう?」と考えたりもしますね。

――たとえば?

早期退職さん:
センサー関係が有望かもしれません。世界から観光客が来ますから、要注意人物や持ち物を検知する機会が増えるでしょうし、人手不足でロボットに委ねる部分が増えるかもしれない。ロボットにはセンサーがたくさん使われます。じゃあ、センサー関係で有望な会社はどこだろうと調べていくんです。

棋士さん:
デフレだと消費者を相手にしている会社よりも、産業用のほうがいいのかもしれないですね。

早期退職さん:
BtoCよりもBtoBの会社のほうが儲かりやすいですよね。回転寿司が流行っていたら回転寿司のお店ではなくベルトコンベアの会社を探す、新薬が話題になっていたら医薬品メーカーよりも新薬を研究するための機械を作っている会社を探す、というように。

配当ママさん:
初心者には難しいかも(笑)。

インストラクターさん:
最初は配当利回りや株主優待、最低投資金額でザックリとふるいにかけるのもいいですね。これなら時間もかからないし、もし時間があるようならば、ふるいにかかった会社のライバル企業なんかも調べていく。でも、そうやっていると3時間くらいあっという間に経ちます(笑)。あとは家族の意見を聞いてみる。僕と妻ではお互いに目線が違うので、妻の意見が参考になることがあります。

棋士さん:
自分でよく調べずに、人に勧められた銘柄を買ってしまう人もいますが、そんな人は投資に向いていないと思う。勧められたら必ず根拠を聞いて、納得できたとしても、必ず自分で調べて裏付けを確認する――それがリスクを避ける最大の方法ですよね。

経営者から株価の先行きを判断する

――ニュースや材料を参考にすることはありますか?

棋士さん:
不祥事などのニュースで急落した会社は注目します。考えるのは、「その会社が再生する見込みがあるかどうか」。たとえばマクドナルドで異物混入などの問題が出たとき、経営陣は迅速にドラスティックに手を打っていた。その様子を見ると、「これは上がるな」と、「 日本マクドナルドホールディングス  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」をめちゃくちゃ買いました。逆に経営陣が責任逃れに終始するようだと買えません。

――投資判断では経営者も大切ですね。

早期退職さん:
ソフトバンクグループ  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」の孫正義さんはすごい。考えることが違う。一時的に株価が下がっても新しい事業の成功などで必ず盛り返している印象があります。

棋士さん:
投資家に媚びない。人気取りではなく将来を見据えてやっている感じがします。私が高校生のころはコンピュータの技術書を執筆するようなエンジニアという印象だったのですが、今のイメージはまったく違いますね。

配当ママさん:
孫さんにかぎらず、雑誌などに経営者のインタビューが載っていると、「どんな人かな」と気になりますね。

早期退職さん:
あとは株主総会や個人投資家向けの説明会も経営者の顔を見る機会ですね。やる気のなさそうな経営者の会社の株価はやっぱり落ちることが多い。

配当ママさん:
株主総会に参加すると、お土産をもらえる時もあって、それも嬉しいですね。

早期退職さん:
規模がそれほど大きくない会社だと、経営者の能力が、株価や業績と比例しているのがわかりることも。思わず引きこまれてしまうような話しぶりの経営者だと、実際に株価が10倍になったりする。最近だと、「 エン・ジャパン  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」という会社は新社長のチカラで株価が上がったのかなと感じました。

損をしたら「飲みに行った」と割り切って

――最後に、これから株を始める人へアドバイスを。

配当ママさん:
持っている総資産をすべて株につぎ込むのではなく、たとえば三等分してひとつは不動産へ、もうひとつはいざというときのための現金、残りを余剰金と考えて、余剰金の範囲で始めるといいのかなと思います。

早期退職さん:
ギリギリの資金で投資すると、もしものときに生活に困りますからね。

インストラクターさん:
難しく考えず、身近なところから考えてほしいですね。5万円の株を買って株主優待で3000円分のQUOカードがもらえたら魅力的ですよね。もし5万円がゼロになってしまったら「10回飲みに行ったんだ」と割り切る(笑)。

棋士さん:
私は、「大きなお金の流れを知ること」を意識してほしい。個別の細かな動きを狙うのではなく、今、世界のお金がどう流れているのか、幅広く情報を知ることが大切だと思います。

早期退職さん:
いいなと思う株があっても、すぐに買わず、3ヵ月くらい株価を眺めて、「なぜ落ちたんだろう」「どうして上がったんだろう」と自分なりに考えて、それが理解できるようになって初めて買う。厳しいようですが、3ヵ月眺めても値動きの理由がわからないならやらないほうがいい。

競艇さん:
同僚にIPOを教えたことがあります。何度かIPOで儲けたら株の楽しみを知ってようで、『会社四季報』を読んだり、チャートを見たりするようになって、今では僕よりも詳しくなっちゃった(笑)。IPOはプラスになりやすいと実感するので、そんな始め方もいいのかなと思います。

<まとめ>
・「他人のオススメ」で株を買ってはいけない。必ず自分で確認して判断する
・不祥事のニュースで株価が急落した時は、その後再生できる会社と判断できるならば安く買えるチャンス
・インタビュー記事や株主総会・投資家向けの説明会で、経営者の人となりを確認する
・投資資金は余剰金で、損しても割り切れる額を。難しく考えすぎず、納得できるものを手がける