34歳で3億円の資産を築く会社員投資家~キクチさんインタビュー【中編】

  • リアル投資家列伝・ データから読み解く投資のヒント / キクチ

徹底した「データ主義」で、34歳にしてすでに3億円を越える資産を築いた、会社員のキクチさん。今回は、銘柄を選ぶときの着眼点について、お話をうかがいました。
「34歳で3億円の資産を築く会社員投資家~キクチさんインタビュー【前編】」を読む

リスキーな「上場廃止銘柄」への着目

キクチさんの型には、もうひとつ大きな特徴がある。「上場廃止銘柄」への投資だ。

「上場廃止銘柄へ最初に投資したのは2004年。メディア・リンクスという銘柄でした。その次が2005年。ノースという会社でした。ともに粉飾決算が明るみに出たことによる上場廃止です」

株式市場には新規公開する会社もあれば、残念ながら上場廃止となってしまう銘柄もある。上場廃止が発表された銘柄は一定期間後、証券市場を通じた売買ができなくなる。上場廃止銘柄を買うのは、「買ったはいいが処分できない」というリスクを抱えた取引だ。当然ながら初心者が手を出すべき銘柄ではない。

「上場廃止銘柄に投資したのは、軽い気持ちでした。たしかに市場での取引はできなくなりますが、事業を継続するのなら別の会社やファンドが買収してくれるかもしれないし、再上場するかもしれない。そうすれば高く売れる可能性がある。もともと上場廃止銘柄は非常に安値なので、紙くずとなっても損失は小さい。競馬でいえば、大穴狙いのような発想です」

上場廃止が発表されれば、市場で取引できなくなる前に処分しておこうと考える売り手が多い。売り物が増えれば株価は下がる。安値で拾っておき、その会社を買収したい組織が現れるのを気長に待つ、というのがキクチさんの戦略だ。

「メディア・リンクスもノースも投資としては失敗しましたが、もともとが大穴狙い。10社のうち1社でも成功すればいいだろうと思っていました」

それが実ったのが3社目。東証マザーズの上場第1号銘柄としても知られるインターネット総合研究所への投資だった。

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上場廃止銘柄への投資は成功するも資産半減

「子会社の決算にからんだトラブルが理由で上場廃止を発表しましたが、インターネット総合研究所の技術自体は高いものがあると思っていました。それに上場廃止決定後の株価はPBRから見て割安だった。私が買ったのは6000円台後半だったと思います。ところが数日後、オリックスが1株1万9000円で買収に手を挙げた。長期戦も覚悟していたのに数日で3倍近くになってくれました」

これでキクチさんの資産は1000万円を突破するのだが、翌年にリーマンショックが起きる。ライブドアショックの荒波は乗り越えたが、リーマンショックでは保有銘柄が軒並み値下がり。資産を半減させてしまう。

この苦境を脱する糸口となったのは、やはり上場廃止銘柄だった。

転機となったO社の上場廃止

「2009年、ある保有銘柄にTOB(株式公開買い付け)がかかりました。よい条件だったので応じることにし、手元に1000万円のキャッシュができた。『次の投資先は……』と物色しようとしていたまさにそのとき、O社が上場廃止になるとの情報が公開されたんです」

O社はプリント基板などの検査装置を製造しているメーカー。粉飾決算などの不祥事が発覚し、上場廃止となった。

「持っている技術力は高そうだし、PBRも割安。膿を出し切れば、企業として再生できる可能性はありそうだと思いました。何より手元にはちょうど1000万円のキャッシュがある。今拾っておけば、いつか買い手が現れて高値で処分できるかもしれないと、手元のキャッシュを投じました。当時の全財産の6割を投じる集中投資です」

キクチさんにとって運命をかけた大勝負。経営陣に″直訴”した。

「多額の赤字計上が続いている、上場廃止になったことで上場を保つために必要であった株主数の下限もなくなったのだから、経費削減のために100株を1株に株式併合してはどうか――そんな内容の手紙でした」

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次回は12/22(木)配信予定です。