「イベント投資」で億へ到達〜夕凪さんインタビュー【後編】

  • リアル投資家列伝・身の回りのイベントから読む投資のヒント / 夕凪

株式投資により1億円以上の資産を築き、夕凪さんの人生は大きく変わった。その成功の秘訣は、専門家が話す「常識」を疑って自分の頭で考えたこと。しかし、それ以上に重要な、「個人投資家が株で人生を変えられるかどうかは、これがほぼすべて」と話す要因がありました。
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順張りで追いかけるのは高値

退職して5年、専業投資家・夕凪さんの生活は大きく変わった。

「毎朝、満員電車に乗らなくていいのは大きいですね。でも、意外と暇にはなりませんでしたね。もっと自由を謳歌できる、行きたいときに旅行に行けると思っていたのですが」

イベントをきっかけにした値動きを狙っていく夕凪さんの取引スタイル。会社員でも真似しやすいスタイルで、取引時間は短くて済みそうだが、何が忙しさの原因なのだろうか。

「専業投資家はサボれば収入が減ってしまう。毎日9時から15時まで、株式市場が開いている間はずっと相場を見ています。デイトレするつもりはないですが、銘柄を入れ替えたりすることも多く、意外と売買は頻繁です」

「高く買う」と安心できる

夕凪さんの投資を成功させた秘訣は徹底した検証にもとづくイベント投資だけではない。

「多くの個人投資家は『安く買って・高く売る』ことをめざすようです。下がったところを買って上がるのを待つ、つまり『逆張り』です。しかし、安く買ったつもりが、さらに下がってしまうことも多く、私には逆張りが難しかった」

そこで夕凪さんが選んだのは「高く買って・さらに高く売る」順張りのやり方だ。しかし、高値をつけている銘柄を買うのは怖い。振り落とされる恐怖を感じるだろう。なぜ、そんなやり方を選ぶのか。

「高値を買うのが怖いと思うのが普通の人の感覚です。でも、私は高値を更新しているような銘柄のほうが安心して買える。なぜなら安値にあるような銘柄は上がったとしても、『やれやれ、やっと利益確定できる』と売りたい人が待ち構えている。その売りをこなさないと上昇できません。でも、新高値をつけているような銘柄はどうでしょうか?」

高値を更新中の銘柄なら、買い手はみんな含み益を抱えて、余裕がある。利益確定売りは急がないだろうし、資金に余裕があれば買い増しを考えるかもしれない。

勝ち馬に乗るイベント投資

「新高値を更新中の銘柄はみんなニコニコ。売り圧力も少ないから安心して買えるんです。今まで紹介してきた私のイベント投資も、順張り的に高値を更新しているような銘柄を狙っていくことで効率は圧倒的に上がりました」

夕凪さんのやり方は「高く買って・さらに高く売る」のもっと上を行く。「高く買って・さらに高く買って・もっと高く売る」だ。

「新高値で最初に買って、さらに高値を更新したら買い増していきます。値上がりに徹底的についていくんです。そうやって『勝ち馬に乗る』ことの威力に気がついてから、年率で40%、50%と儲かるようになりました」

どの銘柄が新高値をつけるかを監視しながら、保有銘柄をいつ買い増すか、どれを見切るかと、ポートフォリオを入れ替えていく。こうした作業が夕凪さんの日々を忙しくしているようだ。

書いて貼って実現した「2014年に1億円」

「会社員時代の私は『時間』を売ってお金を得ていました。今、専業投資家である私が何を売ってお金を得ているかというと、リスクです」

ただし、リスクを引き受けたからといって確実にお金がもらえるわけではない。

「知恵の輪って外し方のコツを知らなければ、何日やっても外せない。でもコツを知っていれば一瞬で外せる。コツを知っているかどうかは、ほんのわずかな違いです。そのコツを知るためには常識を疑って、自分の頭で考えること。『有名な誰かがいっているから正解だ』と信じ込むのは思考停止であり、投資家としてアウトです」

この夏、夕凪さんの姿は沖縄にあるはずだ。

「会社を辞めるとき、目標を書き出したんです。『2014年に資産1億円』とか、『毎年、沖縄で1週間のバカンスを』とか、投資でもプライベートでも目標を書き出して、貼ってあるんです。結果? ほぼ、そのとおりにいっています。まだ実現できていないのは『2020年に資産10億円』と『ファーストクラスで世界一周』ですね(笑)」

5年前の退職時の資産が約2000万円だったことを思えば、2020年の10億円も遠い目標ではなさそうだ。

バブルに乗れるかどうかで投資家の人生が変わる

「相場次第ですね。個人投資家は普通の相場で大金持ちになるのは難しい。個人投資家が大金持ちになるためには、バブルに恐れず乗っていくことが最短路線だと信じています。個人投資家はバブルに上手く乗れるかどうかがで、人生が変わる。それがほぼすべてといってもいい」

規模の大小はあれど株式市場には定期的にバブル的な上昇相場が訪れる。夕凪さんが株式投資を始めたきっかけである20世紀末に始まったITバブルだったり、近いところでは2012年末に始まったアベノミクス株高だったり。

「今でも悔しいのは、郵政バブルに乗れなかったこと。2005年、当時の小泉首相が郵政民営化を掲げて解散総選挙に打って出て、圧勝した。その前後で株式市場は急騰しましたが、この郵政バブルに私は乗れなかった。今も後悔していますし、それからずっとバブルを待ち構えていました。『10年に2回はバブル的な上昇相場が必ずある』と信じて」

そこで訪れたのが、アベノミクスだった。

「安倍さんが首相になるだけで、あんなに株価が上昇がするとは想像できませんでしたが、株価が上昇を始めたのを見て『これこそ、7年間待ちに待ったバブルかもしれない』と全力で買っていった。それも最後までついていってやろうと、とことん買い増していきました。最後には多少は凹まされましたが、それでも余りある利益が残りました」

株式投資で人生を変えるために必要な準備

アベノミクス株高が始まった2012年から約5年。「10年に2度バブル的な相場がある」のならば、次もそろそろか。

「いつ来るかはわかりませんが、バブルに乗るためには準備が必要。証券口座を作ってお金を入れておくことが、まず大前提ですよね」

口座を作っただけで安心していては、やはりバブルを乗りこなせないだろう。

「バブルの始まりのとき、『買われ過ぎ・売られ過ぎ』を示す指標はすべて買われ過ぎを示します。そのときは全力で乗っていくつもりですし、そこでは『出遅れ銘柄を買おう』なんて思わないこと。新高値銘柄を買っていくんです。本物のバブルなら一本調子に上がっていくからです」

夕凪さんの見通しの通りならば、時期的にいえば、そろそろ次のバブル的な上昇相場が来てもおかしくないころ。いつ、そのときが来てもいいよう、準備をしておくのもいいだろう。