第1回 自分への取材が人生を変える

はじめまして。はあちゅうといいます。最初に簡単な自己紹介をさせてください。私はブロガー・作家として自分の考えを発信することを仕事にしています。2歳のころから作家になるのが夢で、「いつか本を出したい」と願いながら幼少期、学生時代をすごしてきました。高校時代は小説を書いて文学賞に応募するなど、書いたものを本にする方法を自分なりに探りましたが、そう簡単に夢はかないません。同世代の文学賞受賞者を横目で見ながら「あんな風になりたいけど、きっとなれない人生なんだろうな」と思いながら毎日をすごしていました。

風向きが変わったのは大学入学後。遠くに住む友達への近況報告のつもりで始めた気楽なブログがたまたま人気ブログになったのです。その後、ブログを通して知り合った友人と期間限定で公開交換日記形式で書いた「クリスマスまでに彼氏を作る」というブログの書籍化が決まり、「本を出す」という夢がかないました。

それ以降、1年に1冊以上の書籍を出版しながら文章で生計を立てており、小さいころに夢見ていた「作家」に近い暮らしをしています。「本を出す」以外にも「世界一周する」「海の見える家に暮らす」「定期的に国内外を旅する」「小説を出版する」など小さいころに願っていた夢の多くが今、実現しています。

引っ込み思案で、クラスの男子と話すだけでも何度も頭の中でのシミュレーションが必要だった私が、自分の意見を発信する仕事に就いて、ちゃんと小さいころの夢をかなえながら生きていることが、なんだか夢のように思えることもあります。でも、すべて現実なので私がここにたどりつくにはなにか理由があったはずです。この連載ではその理由について考えてみたいと思います。

夢をかなえている人とそうでない人の違い

夢をかなえている人と、そうでない人はいったい何が違うのでしょうか? 私はこの仕事についてからときどきテレビに出演することがあり、共演者は、アナウンサー、俳優、アイドル、お笑い芸人、スポーツ選手など自分の夢を着実に実現している人たちです。番組内では、みなさん、自分の経験に基づいた言葉を持っていて、話がおもしろくて、コミュニケーション力にすぐれています。つねにいろんなことを考えていて、会話に流れがあり、喋っていて楽しい。

もともと喋る能力が高い人もいるだろうけれど、その人の意見そのものがおもしろいことがほとんどです。テレビでは、ありきたりのことを言ってもおもしろくなりません。その人にしか言えない、自分なりのコメントを言うことでおもしろくなります(そしてそれは雑誌や書籍でも同じです)。

なぜそんなことができるのか。有名人を間近で観察し続けた結果、彼らは自分のことをよく知っているからではないかという結論にたどりつきました。
有名人は、番組内や取材などで、自分自身について聞かれることがとても多いです。私も取材を受ける機会は多いのですが、取材って、ふだん考えたことのないようなことにも、その場で答えなくてはいけません。

「最近、おもしろかったことは?」「明日死ぬとしたら、最後に食べたいものは?」「20代の若者にメッセージをお願いします」「最近の日本にどんなことを感じていますか?」「一番好きな調味料はなんですか?」「1億円あったらどう使いますか?」

ときには返答に困る質問もあるし、これまでの人生の中で一度も考えなかったことを突然聞かれることもあります。けれど取材の場で「一晩考えさせてください」とは言えません。その瞬間に答えを出さなくてはいけないから、無理にでも今までの自分の人生で得た知識や考えを総動員して答えることになります。

就活を経験したことのある人なら、エントリーシートで苦労した人も多いのではないでしょうか。「人生の一番の失敗は?」「一番がんばったことは?」「一番つらかったことは?」……それがたとえ自分の人生に関する質問でも、答えを練り上げるのは苦しかったと思います。物事を深く考え、分析して結論づけるというのは脳みそを酷使することですから、苦しくて当然です。

でも有名人の毎日は、こんな質問に毎日答えることでもあります。考えたことのないこと、知らないこと、わからないこと、意見がないことに対しても、その場で何かしらの答えを用意しないといけない。それは自分の内面に問いかけるということです。この繰り返しが、結果的に自分のことを深く知ることにつながっているのだと思います。

夢をかなえている人たちは、例えるなら「自分への取材」がきっちりとできているのです。自分に取材ができている人は、自分を客観的に把握できているからこそ、他人に自分の言葉で語ることができるのです。つまり、夢をかなえている人とそうでない人の違いは「自分への取材量」の差ではないかと思います。

取材をされる機会がなければ、自分で自分を取材すればいい

そうはいっても、通常は取材してもらえる機会なんてそうそうありませんよね。それならどうすればいいかというと、「自分で自分に取材する」ことを習慣にすればいいのです。作家やブロガーなど、文章を書くことを仕事にしている人は、自分で問いを立てて、意見を深めていく訓練をいつもしています。これは言ってみれば、つねに自分に取材をしているのと同じことです。日記や手帳を書く習慣がある人も、この「自分で自分に取材」が自然とできています。要するに、流されがちな日常の中で、他人だけではなく自分とも会話する時間を持て、ということです。自分の人生で一番付き合う人は他でもない自分ですから。

自分で自分に取材をし続ければ、人は精神的に成長するだけではなく、幸せになることができます。自分にとっての幸せが何かを知っていれば、他人の考えにおどらされずに、自分の頭で考えて、自分で行動することができるからです。「幸せになりたい」と思いながら、自分の幸せの基準がわからない人が、現代人にはとても多いように思います。どれくらい稼いで、どんな人が周りにいて、どんな生活を送ることが自分にとっての幸せなのか。幸せの基準さえしっかり持てば、むやみやたらに人を羨んで苦しくもならないし、誰かの足を引っ張る時間がいかに馬鹿らしいかわかって、自分の幸せを満喫することのほうに忙しくなるでしょう。

私はこの連載を通して、自分自身が習慣にしている「自分への取材」と「取材回答をつくるためのネタのストック法」「自分に取材した結果をもとに人生を変えていく方法」などを惜しみなくご紹介すると同時に、「自分への取材」の大切さをひとりでも多くの方に伝えていきたいと思っています。

さて、次回は、自分への取材の基本となる「日記」についてお伝えしていきます。

<今回のまとめ>
●夢をかなえられる人は、自分への取材をきっちりしている人
●日記や手帳を書く習慣がある人は、自分で自分に取材をできている人
●自分で自分に取材をし続ければ、自分にとっての幸せの基準もわかってくる