第3回 やりたいことを貯めておく

前回、日記という名の「自分への取材ノート」を習慣化することで、生きているだけでネタが貯まっていく体質に変わっていくという話をしました。せっかく自分への取材を習慣にできたら、今度は取材結果をもとに、「自分のやりたいこと」「かなえたい夢」を貯めていくことをおすすめします。そうすれば、人生をどんどん充実させていくことができるのです。
第2回「その日の終わりに『復習』の時間を持つ」を読む

インスタグラム、食べログ、グーグルマップの活用法

私自身は日々のささいな夢を、忘れないように日記だけではなく、いろんな場所に貯めています。夢を貯めるのは、別にノートだけでなくても構わないのです。今はアプリなどいろんなところに残しておけるので、それらを活用しない手はありません。
たとえば、友人がインスタグラムで美味しそうなお肉の写真をアップしていたら、まずはインスタグラムの「保存」機能で、その投稿をあとから自分で見返せるように保存します(この「保存」した投稿は、自分にしか見れないので、何を保存しているのか他の人にばれる心配もありません)。

そして、さらに、そのお店の店名を、食べログの「行きたい」リストに登録しておきます。それが、レストランではなく観光名所などのスポットの場合は、グーグルマップを開いて、その場所に「行きたい」マーク(緑のラベルようなマーク)をつけておきます。こうすると、あとから見たときには地図の上に自分の気になる場所は緑色のラベルがついて表示されるのです。そして後日、実際にその場所に行けたときは、食べログの場合は「行きたい」を「行った」に変更して、グーグルマップの場合は、「お気に入り」や「スター」に変えておきます。

どこかに用事があって出かけるときには、必ず「ついでに夢がかなえられないかな~」と食べログやグーグルマップを開いて「打ち合わせのついでに、このレストランに行こう」とか「取材のついでに行きたかった雑貨屋さんも寄ってみよう」とチェックするのが楽しみなのです。そしてかなったときに、「行きたい」を「行った」に変えたり、緑ラベルをスターに変えたりするのが小さな快感でもあります。この作業は、私の夢のリストにチェックマークが入ったという証。「食べた」や「行った」のマークが日々増えていくと、人生が進む中で小さな夢が日々かなっていることを実感できます。

人は自分が前進していることを実感できるとき、充実感を覚えるのではないでしょうか。たとえば給与明細を見て、去年より良かったら「今年はがんばったな―」とウキウキするし、マラソンでタイムが上がったら、成長を感じて誰かに言いたくなりますよね。こういう「成長した!」「進んだ!」と思える瞬間を、日常に増やすために、私は記録する場所を増やしているのだと思います。

実は、夢がかなっているのに気づいていないことも

なぜ自分の夢を貯めていくことが、人生を充実させることにつながるのでしょうか。それは、人は自分が興味を持ったことや夢すら忘れてしまう生き物だからです。忘れるような夢ならそもそも自分の人生にとって大切なことではなかったのかもしれませんが、夢がかなっているにも関わらずそのことに無自覚で、つねに「自分は夢がかなわない人生なのだ」と思いこんでしまうことは、自己評価を著しく下げ、自信の低下につながってしまいます。

実は「夢なんてかなわない」と思っている人でも、知らないうちに夢をかなえていることは多いのです。だから「自分は日々夢をかなえながら生きているんだ」ということに自覚的になるためにも、日記やメモの形で夢を書き残しておくことが大切なのです。そうすると、あとから見直したときに「あ、これもこれもかなってるじゃん!」と自分で気づけるようになります。

また、そのときは夢だと思いこんでいたことが、数年後の自分にとってたいしたことはないと思えたときは、ご自身の成長や考え方の変化に気づけるのではないでしょうか。人は、良くも悪くもそのとき一緒にいる人に影響を受けてしまう生き物なので、一緒にいる人が変われば、夢が変わることだってあります。自分の人生にとってそんなに必要ではないことを、周りの人の影響で必要だと思っていたり、それが手に入らないことでフラストレーションを貯めてしまうということもありえます。

誰かにとっての夢だって、自分の人生にはそんなに必要なものじゃないかもしれません。みんながみんな、世界一周やバンジージャンプをしなくちゃいけないわけじゃない。それに夢、といったってサイズはさまざまです。幸せを実感するためには大きな夢よりも小さな夢をたくさん持っている人のほうが有利だと私は思っています。

たとえば、表参道に新しくできたカフェでフレンチトーストを食べたいとか、憧れの人のセミナーに行きたい、などの手が届きそうなものだって立派な夢といっていいと思います。そういう夢もちゃんと日々貯めておいて、かなったら「夢がかなった」ということを自覚できるようにしましょう。ちゃんと「夢は日々かなっているんだ」という自覚がないと、精神的に落ちこんだときや、自分の望む大きなものが手に入らないときに、必要以上に自信をなくしてしまいがちです。

でも「憧れのフレンチトーストだって食べれたし、憧れの人とセミナーで会うという夢もかなえた。日々着実に自分の想像したことは現実になっているのだから、今度だって大丈夫」と思えれば、心を落ち着けることができます。そして、夢をかなえているという実感は幸福感といっていいと思うのです。

かなった夢に目を向けることの大切さ

真面目な人や謙虚な人ほど大きな成長にばかり固執し、小さな成長をないがしろにしてしまいます。こんなことで満足している自分は自分を甘やかしているのではないかと自分に厳しくなってしまうのです。でも、子供は褒められると伸びるといいますし、大人だって褒められたら嬉しいもの。人にしてあげて喜ばれることを自分にも応用すればいいのではないでしょうか。自分にばかり厳しくせず、日々の小さな進歩を自分のために喜んで褒めてあげてください。

成長に固執する人は過去の自分のがんばりをなかなか認めてあげられません。私もフリーランスになってからしばらくは仕事での結果だけが自分の成長だと思えてしまって、休みなく仕事をこなすことに執着していた時期があります。そして、理想通りに結果が出ないことで自分を責めたり、自信をなくすこともありました。

けれどある日、母と自宅でお茶を飲んでいるときに母が「こんなマンションに住めるなんて、長年の夢がかなったねぇ」と言ってくれたのです。そのとき初めて、「都内の海の見える家に住む」という昔からの大きな夢がかなっていることに気づきました。その夢がかなわないころは、そのことについてずっと考えていたのに、かなってしまった瞬間、夢って忘れてしまうのですね。そのときに、かなえたい夢だけでなくかなった夢にも意識を向けなければと反省しました。かなわない夢にだけ目が向いていると、心がつねに満たされていない感覚になってしまいます。そういうときに、かなった夢を思い出せると「私の人生、上々じゃん」と自分で自分を満足させることができるのです。

幸せというのは、条件ではなく心の状態なのだから、かなわない夢に押しつぶされそうなときほどかなった夢に目を向けることが必要なのだと思います。

それに、仕事での結果だけが人生ではありません。家族との夢、恋人との夢、友達関係での夢……と人生にはジャンルごとに多くの夢が必要ですし、どれかがかなっていなくても、どれかがかなっていてバランスが取れたりするものです。でも、かなえてきた夢を忘れてしまうと、かなっていないものにだけ意識がむいてしまい、自分を不幸モードに追いこんでしまうのですよね。夢を忘れない努力さえすれば、自分の人生は夢が溢れ、夢がかない続けるものに見えてきます。そのためにも、夢とそのかなってきた軌跡を「記録する」というのは重要だと思います。

さて、次回は夢をかなえ続けるための方法をお伝えしていきます。

<今回のまとめ>
●夢を書き残しておくと、「自分は日々夢をかなえながら生きているんだ」という自信を持てる
●幸せを実感するためには、大きな夢よりも小さな夢をたくさん持つ
●かなえたい夢だけでなく、かなった夢にも意識を向けると心が満たされる