退職金2000万円を8年で40億円に!〜今亀庵さんインタビュー【中編】

  • リアル投資家列伝・ 勝負どころを見抜く投資との付き合い方 / 今亀庵

リーマン・ショック後に暴落していたJ-REIT市場で乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負に打って出た今亀庵さん。この決断が功を奏して、退職金の2000万円は1年ほどで1億5000万円と、7倍増となりました。しかし、今亀庵さんの勝負は続きます。次の舞台に選んだのは「本職」ともいえる株式市場。大学生時代から細々と続けていた株式投資で、いよいよ今亀庵さんの本領が発揮されます。
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今亀庵劇場第二幕で資産は40億円へ爆増!

「2009年にリートを売却して得た約1億5000万円の資金を株式市場へ投じましたが、2010年、2011年の株式市場は横ばい。私のパフォーマンスも大したことはありません。大きく増えたのは、民主党政権から安倍政権へと交代し、アベノミクスが始まってからです」

リーマン・ショックからのリバウンド相場が「今亀庵劇場」の第一幕とすれば、第二幕の始まりを告げたのはアベノミクスだ。

「ポートフォリオは時価総額の小さな小型株が中心でした。アベノミクスとともに時価総額の小さな小型株も全体的に上がっていき、2015年になると資産が20億円に達した。当時はもう60代半ばでしたから子どもたちへの相続が頭をよぎる。相続対策も兼ねて半分の10億円を不動産へと移しました」

3人の子宝に恵まれた今亀庵さん。総資産の半分、10億円で自宅用のマンションや土地、それに沖縄のリゾート物件などを購入し、残りの10億円で株式投資をリスタートした。

「2015年に10億円で再開し、今は30億円。3倍ほどになっています。不動産も足せば、ざっと40億円ですね」

「もっともリターンが大きいのは小型成長株」

2009年に2000万円だった資金が、8年で200倍の40億円へ――。現代版・わらしべ長者のようだ。いったい、どんな観点で投資していたのだろうか。

「大学生時代、図書館でさまざまな本を読んで、どんな投資手法が儲かるのか、自分に合っているのかと考えました。その結果、統計的に見て長期的にもっともリターンが大きいのは、『小型成長株』への投資だろうと。それ以来、ずっと基本的な考え方は変わっていません」

時価総額の大きな大型株に比べて、小型株は値動きが軽い。好材料が出れば2倍、3倍へと急騰することだってある。しかし、短期間で大きな値上がりが期待できる反面、下がるときの値動きも大きいのが小型株の特徴。リスク管理は必須だし、銘柄選びは慎重に行なう必要がある。

成長性の高い小型株をスクリーニングで探す

「銘柄を選択するとき、私が何を重要視しているかというと会社の成長率なんですね。『今後3年、5年で売上がどのくらい伸びるだろうか?』と。もし3年間、30%ずつ成長する会社なら、株価も30%ずつ上がっていくだろうと」

時価総額が小さな小型株で、かつ成長性が高い銘柄が今亀庵さんの投資対象。そんな銘柄を探すために行なうのが「スクリーニング」、業績や株価指標などの基準で銘柄を絞り込んでいく作業だ。

「インターネットでスクリーニングできるサイトがあるので、それを利用します。私が探したいのは成長性の高い銘柄ですから、スクリーニングの基準とするのは売上です」

成長性を測る指標って利益ではなく、売上でいいのだろうか。

「私は売上で見ています。普通の会社なら売上が伸びれば利益も増えますし、利益の数字には資産の売却やコストカットなど成長以外の要因も絡んでくるためです。ですから、『来期の売上高の変化率が+15%以上』といった条件にスクリーニングしています」

決して特殊な条件や指標を使っているわけではない。とてもシンプルな条件を基本にしている。

「私は投資も生活スタイルもシンプル・イズ・ベスト。いろんな情報が入りすぎると逆にうまくいきません。シンプルな条件でスクリーニングして、あとは自分で確認しながら判断していきます」

そう言いながら持参してくれたタブレットを手慣れた様子で操作していく今亀庵さん。売上高成長率でざっくりと銘柄を絞り込んだら、次に考えるのが業種だ。

「時代性や景気、金利などを考慮し、『今ならこの業種が有望そうだ』とあらかじめイメージしておきます。今ならば金融、とくにリース業ですし、あとは不動産、IT関連、小売の4業種を意識しています。スクリーニングで表示された銘柄から、4業種に当てはまる銘柄を重点的に見ていきます」

次に見るのが割安度合い。成長性の高い銘柄に注目するのは今亀庵さんだけではない。多くの投資家が目をつけてすでに株価が高騰していることだって少なくないからだ。

売上高変化率とPERの数字を単純比較する

「そこで意識しているのは売上高の変化率とPERの関係、いわゆる『PEG(ペグ)レシオ』です」

PEGレシオは成長率を加味して株価の割安度合いを測る株価指標で、通常PER÷利益成長率で求める。一般的に「1倍以下なら割安、2倍以上ならば割高」とされる。難しそうに思うかもしれないが、今亀庵さんの見方はやっぱりシンプルだからご安心を。

「売上変化率とPERの数字を比べてみて、『売上変化率>PER』ならば割安だなと判断します。このとき、PEGレシオは1よりも小さくなるからです。売上が60%伸びているのにPERが30倍なら、PEGレシオは0.5倍(=30÷60)。『1倍以下だから割安だよね』となりますよね」

最後に会社四季報や決算書を見て、細かな数字を確認し、懸念点のある銘柄を消していく。

「財務状況や決算書を見て、借入金があるけど、キャッシュがそれ以上にあるから大丈夫だろうとか、社長が大株主に入っているからモチベーションも高いだろうとか、そうやって確認していきます」

その銘柄に「カタリスト」はあるか

買った銘柄はエクセルで記録しながら数ヵ月、数年と保有し、企業の成長とともに株価が上昇するのをじっくり待ち構える。

「買うときはとにかく長期のスタンス。2年、3年持つつもりですが、株式投資というのは『美人投票』でもあって、多くの人が有望だと考えれば資金が集まり株価も上昇する。そうなるには『カタリスト』があるかどうかも非常に大きいんですね」

カタリストとは「触媒」、相場のトレンドを一変させるような大きな材料だ。M&Aであったり、新たな特許技術の開発であったり、あるいは大ヒット製品の誕生といったようなカタリストが生まれると株価を50%、100%と押し上げる。

「カタリストがなく企業の成長とともにじわじわ値上がりするようなら持ち続けますし、1年で2倍になるようなら『そろそろかな』と売ってしまうこともあります」