金のためにやってきたわけじゃない。買いたいものなんてすぐ尽きてしまう

1980年、25歳のスティーブ・ジョブズは、アップルコンピュータのIPOで2億5600万ドルの個人資産を手にした。裕福とはいえない家庭で育ち、お金で苦労した生活からすべてが一転。同じように大金を手にした人の多くは、贅沢の味を覚えて人が変わってしまった。しかし、それを見たジョブズは「あんな暮らしはしたくない」と思い、「人生をお金につぶされないようにしようと僕は心に決めたんだ」と語っている(伝記『スティーブ・ジョブズ 1』ウォルター・アイザックソン著より)。実際、ジョブズは死ぬまで、びっくりするほど質素な家に住み、贅沢品を極力もたないシンプルな生活を続けた。「金で買えるもの」がいかに味気なく、つまらないものか。25歳でその現実を知ったジョブズは、生涯をかけて目の前の「金」ではなく、いい製品をつくるという「理想」を優先した。金のために働き物欲を満たす人生と、金を積んでも得られないほどの大きなビジョンに挑戦する人生と、どっちが豊かか。ジョブズの生涯をたどれば、その結果は明らかだろう。

■スティーブ・ジョブズ(実業家)
アメリカの実業家。1955年生まれ。1976年、高校生のころからの友人であり、天才技術者のスティーブ・ウォズアニックとAppleを発売。翌年、アップルコンピュータを法人化。初代Macintoshを発売して話題になるが、社内との確執により同社を退任。新しい会社NeXTを立ち上げ、並行してピクサー社を創業し、CEO就任。1996年、アップル社のNeXT社買収に伴い復帰。赤字経営だったアップルを黒字転換させ、2000年、アップルCEOに就任。2007年、iPhoneを発売。スマートフォンの世界的ブームが生まれる。2011年10月5日、iPhone 4Sの正式発表を見届けた翌日に死去。
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