デイトレは自分との戦い〜20億円デイトレーダー・テスタさんインタビュー【前編】

  • リアル投資家列伝・過去の自分を乗り越える投資心理 / テスタ

デイトレーダーとして活躍するテスタさん。そのブログのタイトルはかつて「目指せ利益10億円!」でしたが見事に達成し、現在は「目指せ利益20億円!」に。新たなタイトルも達成間近と、テスタさんの勢いはとどまるところを知りません。そんなテスタさんですが、デイトレーダーとしてのスタートは苦しいものでした。

「2017年のテスタ」が戦った相手は

「今の実力やったら『あいつ』を超えられるんかなと。今年はやってみようと思って、今の時点で利益8億円。あいつを超えていますが、1週間で1億、2億負けるのは簡単。大納会の日に超えていなければまったく意味がないので気は抜けないですけど、もしかしたら超えられるかもしれません、『2013年の自分』を」

デイトレーダーのテスタさんが2017年、強く意識するライバルとしていたのは、年間収支では最高となる5億500万円を稼いだ「2013年の自分」だ。

「それまでも毎年、年間収支は少しずつよくなっていましたが、2013年は特別な相場でした。アベノミクスが本格化し株価も急上昇し、自己最高を大きく更新できた。そのため翌年以降は『2013年は超えられないだろう』とあきらめていたんですよね」

2017年11月末時点で年間利益は約8億円。「2013年のテスタ」を超えている。あと1ヵ月大きな失敗がなければ、テスタさんに新しいライバルが生まれそうだ。

「2013年ころはカリスマトレーダーと呼ばれる人でも『1億円が最高峰』みたいな風潮でした。始めたときは、自分が1億円まで行けるとすら思っていなかったですよね」

対戦格闘ゲームにハマった学生時代

テスタさんが投資を始めたのは12年前。定職につかずフリーター同然に働いているときだった。きっかけは書店で出合った1冊の本だ。

「株って『年配の人が難しい経済記事を読みながらやるもの』というイメージがあったんですが、本を読むと、どうやらそうじゃないらしいと。手数料が自由化されインターネットでのトレードができるようになって数年が経っていて、誰でも気軽にできるようになっていたのが大きかったですね」

当時のテスタさんは投資経験ゼロ。でも、株にも通じるかもしれない、ある分野での豊富な経験があった。

「対戦格闘ゲームが好きやったんです。『ストツー』(ストリートファイターII)や『バーチャファイター』が流行った世代ということもあって、学生時代は毎日のようにゲームセンターへ通い、どうしたら勝てるんやろって仲間と研究していました」

コンピュータと対戦するだけでなく、向かいの筐体に座る相手とも対戦することが可能な格闘ゲームは一世を風靡した。

「小、中、高、ずっとハマっていました。一緒に研究する仲間と対戦するときは別ですが、それ以外の人との対戦ではほぼ負けなかった。そうはいっても全国レベルでは全然やったと思いますけど」

「対戦相手との心理戦」を徹底的に研究した

テスタさんが極めようとしたのは「対戦での勝ち方」だ。

「対戦格闘ゲームって、操作方法は完璧に覚えて当然。じゃあどこで勝敗が決まるかというと心理戦なんです。次の動きを読んで先に動いたり、『1戦目はこう動いたから次は逆を突いてこう動こう』とか、相手のクセを見抜いたり、そういうのを研究したり考えることが好きでした。当時はわからなかったですけど、対戦格闘ゲームでの思考回路や研究が今、デイトレで活かされているんだなと」

同じように感じるデイトレーダーは少なくないようで、世界を舞台に活躍するプロゲーマー梅原大吾さんの著書はデイトレーダーの定番書ともなっている。

「梅原さんや、あるいは将棋の羽生善治さんの本はボクも読みました。相手との駆け引きや精神論、突き詰めれば自分との戦いであることなど、デイトレと通じるところは多いと思います」

羽生永世七冠や世界的ゲーマーはデイトレの達人になれるのか

梅原さんや羽生さんがデイトレの世界に参入すれば、驚異的なパフォーマンスを叩き出すのでは――そんな想像も頭に浮かぶ。

「そこはちょっと疑問を持っていて……。なぜならボクが将棋をやってもプロにはなれないし、格闘ゲームでも世界レベルには到底到達できない。逆もまた然りで、ゲームや将棋とデイトレに通ずるものはあっても、また違った能力も必要な気がします。ボクが将棋やゲームでトップになれないということは、向こうも――」

それを証明するように、スタート当初のテスタさんは苦戦続きだった。

「最初の2ヵ月は勝てなかった。仕事も辞めていたので、働いていれば必ず得られたはずの収入が得られず、しかも株でマイナスを出しているという現実、それに加えて周囲に株をやっている人が誰もいなかったので自分がやっていることが正解なのかどうかもわからないという迷い――プレッシャーを感じる日々でした」

プレッシャーが生じさせた体の異変

プレッシャーはテスタさんの体調に異変をもたらした。

「毎朝、吐いてから株を始めるというのが日常になっていました。なぜ吐くのか、当時はわからなかったですけど体がプレッシャーを感じていたんだと思います。朝なので胃に何も入っていない。吐いても何も出てこないし、でも吐いたらスッキリする。ひととおり吐いて吐いて、吐き気が収まったら『さぁ株やろう!』みたいな」

安定収入が確保できる働きながらのトレードではなく、テスタさんは株のみを収入源とする専業トレーダーとしてのスタート。プレッシャーは大きかった。

「ゲームでよく遊んでていたからか知らないですけど、デイトレでも『攻略法』はないだろうかという目線で見ていました。値動きのクセ、傾向などの攻略法がその時代、時代に応じてあるんですが、当時のボクも小さな攻略法を見つけてやっとプラスになってきた。それとともに吐き気もいつの間にか収まっていました」

対戦格闘ゲームで筐体の向こうにいる相手の心理を読んで攻略法を探したように、デイトレでもモニターの向こうにいる相手の心理やクセを読んで成功への手がかりをつかんだ。