テンバガーをつかめ!〜10億円投資家・たーちゃんさんインタビュー【中編】

  • リアル投資家列伝・ テンバガー(10倍株)を見抜く着想法 / たーちゃん

投資家として再デビュー戦となった金鉱株での一点全力勝負は、テンバガーとなる大成功に。資産を一気に6000万円へと増やすと、ここからは堅実な分散投資とテンバガー狙いの一点全力勝負を巧みに使い分けていきます。個人投資家が資産10億円をめざすためにはどんな方法を採用すべきか、たーちゃんさんの経験は示唆に富んでいます。
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「20代に分散投資は必要ない」その理由とは

当初の元手600万円は1銘柄の売買だけで6000万円へと増加した。たまたま買った銘柄がバカ当たりしてのラッキーパンチ? 決してそんなことはない。

「20代は分散投資せず、1銘柄に全力で投資するのがいちばん効率的だと考えていました。リスクはありますが、どうせ元手は少ない。もしゼロになってしまっても働いて貯めればいい、と。だから、金鉱株1社に資金を集中させたんです」

集中投資の対極が分散投資。分散させればリスクは低められるが、大きなリターンも期待しづらくなる。

「僕の目標は20代で1億円、30代で10億円、40代で100億円でした。600万円の資金を分散投資で年10%ずつ増やせたとしても、1億円に達するには何十年とかかる。だったら10倍を狙って1社に集中投資し、ゼロになってしまったら働いて稼げばいい。当時の自分にとって最大の資産は自分の労働力。金融資産は二の次でしたから」

分散投資の否定ではない。年齢や資産額によってステージがある、という発想だ。

資産1000万円以下は集中投資、分散投資は5000万円から

「あくまでも僕の投資哲学ですが、資産が1000万円以下の会社員なら分散投資は必要ないと思っています。その段階では1銘柄に集中投資して大きく増やしにいったほうがいい。リスクはありますが、働いて挽回できますから。逆に5000万円を超えたあたりからは分散投資も取り入れていくべきだと思います」

この言葉通り、資産が5000万円を超えたたーちゃんさんは分散投資も取り入れていく。

「10銘柄から15銘柄くらいに分散していきました。目標は20代で1億円。それをクリアしたのは、30歳の誕生日目前のころでした」

次の目標は40歳までに10億円。高い目標へ向けて、たーちゃんさんは再び大きなリスクを取りにいった。

オートフライヤーの魅力を力説したデート

「リーマン・ショックのころです。世界経済の落ち込みで日本株もパフォーマンスが悪化し、中でも外食産業の株は敬遠され、割安に放置されていました。PER3倍、4倍といった銘柄がゴロゴロしていたんです。いちばんダメだと思われている外食産業の株を拾っておけば、意外とイケるんじゃないかと」

ゴールドに目をつけたのと同じような状況だ。しかし、外食産業といっても銘柄数は数十社にのぼる。絞り込みが必要だ。

「50社ほどをピックアップし、調べつくしました。1店舗の平均面積や1平方メートルあたりの売上、従業員数、人件費、1人あたりの売上、成長性――そうした項目をエクセルに入力し、1社ずつレポートにまとめていきました。めちゃくちゃ気合いを入れていたし、今思えば時間に余裕のある独身時代だからできたことですよね」

データだけではない。足と舌も駆使した。

「遠方でも足を伸ばし、50社ほどすべて実際に足を運んで食べ歩きました」

その中で注目したのが、とんかつ・カツ丼のチェーン店「かつや」だった。手頃な価格で迅速にとんかつを提供してくれる庶民的なお店だ。

「当時は今の奥さんがまだ彼女でした。かつやがあまりに魅力的だったので、デートでも連れて行きました。『あのオートフライヤーを見て! あそこに厚さ10ミリの肉を載せたら数十秒でとんかつが揚がるんだ! 素人のアルバイトでもサクサクのとんかつが作れるんだぞ!』と。奥さんには何のことかわからなかったでしょうね(笑)」

かつやに惚れ込んだたーちゃんさんは、運営会社であるアークランドサービスの株を買っていく。

「とにかく安い、味もしっかりしている、これはイケると。50社を調査する中で気づいたのは、外食店は安い店が有望だということ。味だけで勝負すると多店舗展開する中でどうしても味が落ちてしまう。強みが剥落してしまい、高い客単価が維持できなくなるんです。しかし、安さが強みなら多店舗展開しやすいですよね」

アークランドサービスに資金を集中させていった。しかし、金鉱株のときと違ったのは「1銘柄全力」ではなく、投じる額を資産の20%に抑えたことだ。

「資産が1億円を超えていましたから、1銘柄に集中させるとしても総資産の20%までとルールを決めていました。結局、アークランドサービスは50倍くらいになりました。税制改正の絡みがあり、僕は10倍ほどで売ってしまいましたが」

テンバガー再び、だった。

100分の1か、成長か。テンバガーは2パターン

「テンバガーをとるには2つのパターンがあります。ひとつは株価が100分の1になるほどに売られた銘柄を買うこと。もうひとつは上場したばかりの成長企業をみつけること。そのいずれかです」

金鉱株は猛烈に売られていたし、アークランドサービスは急成長していた。

「2012年に買ったアイフルは前者、100分の1になっていたパターンです。一時は2兆円を超えていた時価総額が200億円ほど、つまり100分の1まで売り込まれていました。瀕死の状態でしたが、倒産さえしなければ株価は少なくとも10倍には回復するだろう、と」

株価低迷の主な原因は法律の改正により激増した過払い金請求だった。

「調べていくと過払い金請求は少しずつ収まりつつあり、営業利益が出だしていた。これは倒産しないんじゃないか、と確信めいたものがありました。口では説明しづらいんですが、光が見える瞬間があるんです。これは来るぞ!? という光です」

直後に安倍政権が発足、株高が始まり、アイフルの株価は急上昇し、アベノミクス株高の象徴的な銘柄ともなった。

「僕は運良く株価のピークで売却する事ができました。テンバガーには届かなかったものの、半年で7倍の値上がり。大成功でした」