泥棒にキスされたら、自分の歯の数を数えろ

ユダヤ人は「泥棒」を、イディッシュ語で「ゴニフ(gonif)」と呼ぶ。アメリカ英語でも使われる言葉だが、面白いのは「ずる賢い詐欺師」「不正直なビジネスマン」という人たちも、「ゴニフ」と呼ぶこと。盗人根性を持った人、悪巧みを考えそうな人は、みんな泥棒とみなすわけだ。「When a thief kisses you, count your teeth.(泥棒にキスされたら、自分の歯の数を数えろ)」は、「ゴニフのような悪人が近づいてきたら、引っかからないようによくよく注意しろ」という警告を、ユーモラスに表現した格言だ。いかにも親しげに、愛情があるように接する人でも、腹の底にはだまして利益を得ようという魂胆があるかもしれない。表面だけを見ないで、常に物事の裏側を見ようとするユダヤ人の警戒心の強さがよく表れている。

■ユダヤ人の格言について
ユダヤ人はパレスチナの地を追われて各地に離散し、差別や迫害を受けた過酷な歴史をもつ。長い間、国家をもたない民族として生き延びる過程で、多くの格言を使って苦悩や喜びを表現し、生き抜く「知恵」を子孫に残してきた。その格言の数々は、現代に生きるわれわれにとっても、普遍性・説得性をもつものばかりだ。
■参考文献
『ユダヤ人ならこう考える! お金と人生に成功する格言』(烏賀陽正弘《うがや・まさひろ》著・PHP新書)より格言を選出。解説も烏賀陽氏の見解を参考にしている。
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