「投資家気質」を持って生きれば、この先の人生が変わります 〜個人投資家・千葉功太郎さんインタビュー【後編】

  • お金を語るのはカッコいい・投資で未来を作る / 千葉 功太郎

ドローン専門ファンドを立ち上げるなど、エンジェル投資家として目覚ましい活動を続ける、千葉功太郎さん。そんなスゴ腕投資家としてのキャリアのスタートはなんと、「両親に言われるままに買った不動産」。自らの「投資家気質」を育てた両親とのエピソードや、若い人へのメッセージを聞いた。
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「エンジェル」って怪しくないですか?

じつは最近まで、「エンジェル投資家」ってあまり名乗っていなかったんです。だって「エンジェル」って言葉、怪しくないですか? 頭の上に輪っかが乗ってるのかなあ、とか(笑)。日本人は投資に、ダーティーなイメージを持つ人が多い。その上、エンジェル投資家というと、お金持ちの道楽とか、お小遣い稼ぎとか、そういう印象を持たれることが多くて……。

僕がどういうスタートアップを応援しているのか、また彼らを集めたコミュニティ「千葉道場」で何をやっているのか。これまではあまり、公にしてきませんでした。隠していたというよりも、冷たい目で見られることがわかっていたので、言わなかったんです。

僕自身は、志ある起業家を応援したいと思って、投資をしてきました。ビジネスとして成長することはもちろんですが、それだけではなく、起業家の「強い思い」に惹かれて、投資先を決めてきました。

例えば、「ウェルスナビ」という会社。創業者の柴山和久さんは、財務省やマッキンゼーで働いた経験がある人。あるとき彼は、アメリカの義父母の金融資産の多さを知って衝撃を受けます。同じような学歴、職歴の日本の両親の資産に比べて、10倍の開きがあったのです。

「これはおかしい。もっと日本人の金融資産を増やしたい」。そう思って、柴山さんは起業しました。ロボアドバイザーを使って、少額からオンライン上で資産運用ができるサービスを始めたのです。「2020年までに預かり資産1兆円を目指す」という夢には、彼の強い思いがこもっています。僕はフィンテックにはそんなに関心がなかったのですが、柴山さんの思いに共感し、シード段階(初期段階)で投資を決めました。

中編でもお話ししましたが、エンジェル投資家はお金を出すだけの存在ではありません。自ら汗をかき、起業家の成長を促す環境を作り出していくのも、重要な役割です。起業家の強い思いを実現するために、横からあれこれ世話を焼く。エンジェル投資家ってそんな泥臭い存在だと、僕は思っています。

そうやって信念を持って活動しながらも、エンジェル投資家として人々から微妙な印象を持たれるのは、やっぱりつらい。ずっとそう思っていましたが、最近、少しずつ流れが変わってきたと感じます。

投資は決してダーティーなものじゃない。会社を応援したり、社会を支えるものであって、資産形成の手段としても大切。そういう前向きな意見が、社会に広がっていると感じます。

ですからこうして取材に来てもらうのが、すごく嬉しい。エンジェル投資家としてやってきた活動がようやく日の目を見るのかなあと、心底、励まされます。

22歳で4000万の不動産を買う

僕はもともと、「投資家気質」なんです。

コロプラの立ち上げに参画したのも「ベンチャーの経営をしたい」というよりは、「成長しそうな企業に参画して目的を達成し、リターンを回収しよう」というスタンスでした。当時から目線は起業家というより、投資家だったんですね。

こんな気質になったのは、明らかに両親の影響です。僕の両親は2人ともフラワーデザイナーで、フリーランスだったので、収入に波がありました。そこで金融資産を持って収入を安定させようと、多くない収入の中からローンを組み、不動産を買いました。

それが値上がりし、現金収入が入るという経験を何度かするうちに、大きな案件をつかみました。六本木6丁目に買った不動産が、なんと六本木ヒルズになったのです。

これがかなりの財産になって、生活が安定しました。だから両親はよく、「不動産はいいわよ」と言い、僕もそれを聞いて育ちました。そしてリクルートに就職した22歳のとき、「これでローンが組めるわね!」と、いきなりマンションの内覧会に連れていかれました。よくわからないまま、気がつくと4000万円のローンを組んでいました(笑)。

その物件は結局、投資としては失敗でした。値下がりしたのを5年後に3500万円で売却。500万円も損して、ものすごく悔しかった。絶対に、人から勧められたものをただ買っちゃいけないと学びました。

それからは真剣に研究して、不動産では失敗しなくなりました。そうすると楽しくなるし、余裕ができたらまた買おうという気持ちになる。
ですからまあ、英才教育というか……。社会人1年目にいきなり投資をして大きなリスクにさらされたので、怖いものはなくなりました。同じことを自分の子供にできるかというと難しいですが、すごい教育を受けたことは確かです(笑)。

20代の最大のリソースは「時間」

投資家は常に、「いま」より「これから」を見ています。将来の成長を見越して、リターンを得るのが投資の目的ですから。

若い人にはぜひ、こういう投資家のような目線を、人生に活かしてほしいと思います。いまある自分のリソースを、未来のために使っているか。成長につながる何かに投資しているか。投資家の目線でチェックしながら生きると、その後の人生が変わります。

もし20代であれば、あなたの一番のリソースは、「時間」です。30代の1時間よりも、20代の1時間の方が圧倒的に単価が高い。なぜなら、若いうちは知識や経験を吸収できる量が多いからです。僕はいま40代ですが、吸収できる量が減って徹夜もできなくなったので、時間効率が極めて悪い。歳をとるとその分、経験、人脈、お金などが増えますから、落ちた能力をそういうものでカバーして、バランスをとるわけですが……。

ですから20代のうちは、「時間」の使い方を最も意識すべきです。いまある時間を、未来に向けて使うのです。勉強したり、興味がある業界にインターンに行ったり、会いたい人が登壇するイベントに行ったり、そういう「未来に価値が出そうなこと」に使えば、あなたの人生における財産が増えていきます。

一番良くないのは、「これから」につながらない「いま」をダラダラと浪費すること。いつメン(いつものメンバー)と毎日飲んでも、あなたの未来はそんなに変わりません。もちろん、友達は大事です。でもいつメンとの関係って、毎日飲まなくてもなくならないはず。それよりも未来につながることを考え、行動し、知識や経験、出会いといった、たくさんのリターンを得てください。

投資って、未来を信じることです。
そして、その未来が実現するまで、一生懸命努力を続けること。
そういうスタンスで生きる人は、立場は違ってもみんな、「投資家気質」と言えるんじゃないでしょうか。